アグロエコロジーとは何か
何度も書こうとして、書ききれずにいました。
アグロエコロジーは、私にとって、良い子ちゃんのままでは表現できない内容なので書きたいように書かせていただきます。
光や美しいものばかりを求める人、現実に起こっている事の負の側面を直視する器のない人には向かない話だと思います。でも、問題を直視することができて初めて、私たちは本当の希望を現実世界に見いだすことができるのだと思っています。
Wikipedia によれば、
アグロエコロジーとは、
Agroecology is the study of ecological processes applied to agricultural production systems. Bringing ecological principles to bear can suggest new management approaches in agroecosystems. The term is often used imprecisely. Agroecologists study a variety of agroecosystems. The field of agroecology is not associated with any one particular method of farming, whether it be organic, integrated, or conventional, intensive or extensive, although some use the name specifically for alternative agriculture.
生態学は、農業生産システムに適用される生態学的プロセスの研究です。
生態学的な原則をもたらすことは、農業生態系における新しい管理アプローチを提案することができます。この用語はしばしば不正確に使用されます。
農業生態学者は、さまざまな農業生態系を研究しています。(Wiki 自動翻訳)
ちょっとWiki日本語版の意味がわからない(笑)ので私なりに翻訳&補足しなおすと、
アグロエコロジーとは、まだはっきりとした定義ができている訳ではないですが、
環境に優しい方法で農業生産を行おうとする学問です。
農業と環境の関係に関する様々な研究がされています。
環境保護の原則を活かすことは、
農業生態系における(農業による生態系、環境への影響を考えたり配慮するような)
新しいやり方、取り組みを
(私たちに)提示しうるものです。
アグロエコロジーは、特定の農法
(例えばオーガニック農法やインテグレーテッド農法、慣行農業、
インテンシブファーミング、エクステンシブファーミング)
に限定されることはなく、
また特に(現行の農法に対する)代替農法として
アグロエコロジーという名目が使われることもあります。
という感じでしょうか。
- インテグレーテッド農法・・・持続可能な農業生産システムを目指して主にヨーロッパで広がった農法。農業だけでなく、生産から加工・消費までのシステムを一貫して考えるのが特徴。(…なのかな?)
インテンシブファーミング・・・主にIndurstrial Agriculuture工業型農業のようにコストをかけその分単位面積あたりの生産量をあげる手法
エクステンシブファーミング・・・コスト(労力、肥料、農薬などのINPUT COST)を極力かけない手法
慣行農業という言葉も一般の人にはあまり馴染みのない言葉かと思いますが、
慣行「= 以前からの習わしとして通常行われている」農業、
ということで、現在では、Industrial Agriculture 工業的農業、産業的農業が一般的ですね。
1960年代に世界的に行われた農業革命、「緑の革命」以前であれば、【 慣行農業 = 有機農業 】ということですが、残念ながら現在では、
品種登録された種(F1種、ハイブリッド種、遺伝子組み替えの種)を購入し
化学肥料、農薬を使い
畑には単一作物だけが
育てられる農業をさすことになるかと思います。
(そして、収穫後に更に鮮度を保つための薬品がかけられたり処理が施されたり・・・)
ちなみに、かなりの日本人がオーガニックとは何か?を知らなくてビックリしているのですが、オーガニック農業とは、有機農業のことです。そのまんま。笑
さらに、全く興味のない方達にこそちゃんと理解して欲しいと思っているので念の為に補足説明をすると、
有機農業は、化学肥料や化学的に合成された農薬を使わない農法のこと です。
有機農業で使われる肥料や農薬、そこに含まれる化学肥料や化学的に合成された農薬の割合などは、国や各認証協会の定義によって少しずつ異なります。
(え?笑 有機作物に化学肥料や農薬が使われるの?ってびっくりする方もいますよね。現実はそうなんです。)
アグロエコロジーから話題がそれてしまうので細かいことはまた追い追い話すとして。。。
Dr.ヴァンダナ・シヴァは、「アグロエコロジーこそ持続可能な社会への答え」と言っています。
アグロエコロジーこそ持続可能な社会への答え アグロエコロジーコースを受講して
Navdanyaでは、毎年9月に1ヶ月間ののアグロエコロジーコースを開催していますが、このコースに参加した日本人は私が初めてだったそうです。(もし今後参加する人はぜひ連絡ください!一緒に勉強しましょう!!)
Navdanya ナブダニヤのアグロエコロジーコースでは、有機農業の他、現在世界で名前が出ている様々な農法(ダイナミック農法、インテグレーテッド農法、ゼロコスト農法、ゼロバジェット農法、自然農などなど)の特徴を学びつつ、生態系、生物多様性やそれらが環境および私たちの健康に与える影響はもちろんのこと、
食、健康、栄養学やその他医療について、ヨガ・アーユルヴェーダや哲学、経済と産業の在り方、
現在の世界中の農業と食産業にまつわる問題点などについて様々なことを学び、話し合いました。
農業について学ぶだけではなく、
私たちの生き方、社会の在り方、人生の価値観そのものを問い直し、
資本主義、経済至上主義の現在の世界で、
何を守り、どのように経済至上主義の勢力から自分自身とそれによって窮地に追いやられている人々、最悪、死に追いやられている人々を守り、
50年後、100年後の子供達に豊かな地球を残すことができるのか、
を講師や参加者同士で知識や経験をシェアしながら模索していくような内容でした。
ここにも書きましたが、私にとっては、ずっと探していた仲間たちにようやく出会えた、と思える場所でした。
スピリチュアルな事を求め、霊性を高めながら生きているのであれば、大地に繋がり自然を守ることの大切さに必ず気づきます。
自然と共に生き、環境を守る事に興味を持ち始めると、私たちの衣食住を支える農業が、どれほど大切で、なおかつ慣行農業がどれほど自然を壊し、私たちの体を蝕み、精神を蝕み、健康を害し、医薬品業界に繋がっているのか、が見えてきます。
(ここに気づかないのは偽スピリチュアル♪)
現在世界中がコロナによるパニックに陥っていますが、これが私たちの未来にとって、良い変化を促す事になるか、はたまた更に世界を破滅の方向に導いていく事になるのか。
今のこのコロナでのパニックの中でこそ、アグロエコロジーの概念と、その中でも大切な「生物多様性」についての理解が大切になってくると思います。
なぜ生物多様性が重要なのか
なぜ生物多様性が重要なのかわかりますか?
Living Soil 生きた土 が、どれほど大切なのか。
作物だけでなく、私たちの健康、環境、そして未来への鍵を握っているのか、その繋がりがイメージできますか?
一般的に、自然農(もしくは、有機農業でも慣行農業よりはbetter)が行われている畑の土の中には、無数の生物が存在し、それらの働きにより、種類豊富な有機物・無機物が含まれています。
特に、畑に生えている植物の多様性がある程(つまり、いく種類もの作物、雑草が生えている)、その畑に存在する動物、昆虫やその他生物、微生物や菌の種類も増えます。その様々な生物たちが異なる栄養素を吸収し、異なる化合物を作り出します。
鉄などのミネラル(無機物)さえ、その土の中に存在する量が年々増えていくことが確認されています。
その為、その畑で育つ作物は、一般的に慣行栽培で化学肥料を与えられた作物よりも多くの種類・量の栄養素を含むことが確認されています。
よく、昔の野菜はもっと味が濃かった、と言っていたり、有機野菜を食べた時に、深い味わいを感じる人がいますよね。
上記の理由からです。
その畑に様々な微生物や菌がいることで、様々な虫や生き物が存在し、そしてそれらがポリネーターとして植物の受粉を助ける役割を担います。
てんとう虫や蜂、鳥などが有名ですね。
ポリネーターが木から木へ、草から草へと移動することで、異なる遺伝子間の受粉を行い、遺伝子の多様性を保ちます。
作物だけでなく、雑草と呼ばれる草木の多様性が増していく点も重要です。
例えば、日本ではこれまで世界に類をみない優秀な法律・種子法というものによって、300種類以上もの米の多様性が保たれていました。
(そして、残念ながら種子法は廃止されました。。。誰のせいでしょう。そしてこれから日本はどうなるのか)
種子法と種苗方改正案について (動画)
しかし、現在、その国の米の97%ほどが、1つの全く同じ遺伝子の種を使い栽培される事になってしまった国があります。
たとえその米の種類が、その国土にあった、乾燥に強く、暑さ寒さに強く、風にも強いものであったとしても、
異常気象により雨が続いてしまった場合、そのコメが耐えられない環境になってしまった場合、
その年の米の収穫は単純に3%になってしまう、という事になります。
更に残りの3%のコメも雨に弱いタイプだったら、全滅という事ですね。
また、1作物の遺伝子的種類の多様性だけではなく、畑一面あたりの植物の多様性も重要です。
植物は当然、種類によって根の長さが異なります。
ある植物は深く深く大地に根をはります。
また、植物だけでなく、その植物の周りに集まってくる生物、微生物、菌などが、根よりも更に深くの土に存在するようになっていきます。
だから、一度雨が振ったら、地下の深くにまで水分が保持されており、また、その水分を深くに根をはる植物が吸い上げ大気中に放出する事で、大地の表面の湿度がある程度一定に保たれるのです。
自然農法の創始者、福岡正信氏は、「雨は大地から降る。」と言っています。
日照りが世界的に増えているのは、土地が死んでいて(その土地にすむ生物の多様性が失われていて)、水が植物によって大気中に放出されないからだ、と説明されていました。
そして、その事で更にその土地で育つことのできる種類は限られていき、最後には砂漠化してしまいます。
少し、なぜ農業が「環境」と「未来」に繋がっているのか、イメージできてきたでしょうか?
ちなみに、農薬により雑草や虫の種類がへり、微生物・菌の種類がへり、土地が死んでいき、畑は上に書いた「いきた土」とは正反対の「死んだ土地」になっていきます。
インドで積極的に「緑の革命」が行われた、パンジャーブ州やラージャスタン州は特に畑の砂漠化が深刻だと言われています。
現在、日本人にとって、それらの土地はもともと砂漠のイメージが強いかもしれませんが、45才以上のインド人に聞いてみてください。
昔はもっともっと緑が豊富だったと答えます。
また、なぜアグロエコロジーが経済や産業、しいては資本主義そのものに対する解決策として重視されているのか。
世の中のあらゆるものがアグロエコロジーの話題として結びついてきて、それらを簡単にでも説明していくには長すぎるので、また改めて一つ一つ、できるだけわかりやすく簡単に、私自身の言葉で説明していきたいと思いますが、今日は簡単に現在のコロナクライシスと関連する事を書きます。
コロナ禍におけるアグロエコロジーの観点
新型コロナウィルスが自然発生したものなのか、人工的に作られたものなのかの議論は置いておき、
この恐怖によって街の中に巻かれる消毒剤、必要以上に使われるハンドサニタイザー、消毒液、除菌・抗菌剤に対して、そして、今後ますます多くの人がワクチンを求めるようになることに対して危機感を覚えています。
生きた土が大切なように、私たちの体の内外には無数の常在菌が存在していて、その常在菌がいる事で、悪い菌が入ってきても常在菌の働きによって追い出すことができるようになっています。
殺菌のしすぎによって、自然に備わっている免疫機能が働かなくなり、かえって私たちは、防御のない状態で危険に晒されているようなもの。
注射をさす時にその部分を消毒してもらったり、怪我をして傷口に砂や土が入ってしまっている時とは意味が違うんです。
手を消毒する事で、手の平にいる常在菌がいなくなり、普段だったら気にする必要も内容な弱い、けれど悪さをする菌がかえって手のひらで繁殖してしまう可能性が高くなる。
コロナが収束したとしても、人々はますます弱くなり、コロナ以外の病気が増え、・・・儲かるのは製薬会社かな。
作物を「貨幣価値のある商品」として扱い、自然な在り方を無視し、
薬を与えられ、サプリメント(肥料)を与えられ、
見た目が綺麗で、皆が同じ顔をして、同じ大きさで育つように育てられる。
私たちが野菜に求めている事と、子供たち(&社会の人たち)に求めてる事は同じな気がする。
不揃いにならないように、病気にならないように、非効率的にならないように、反抗しないように。
そして、最後に自分の首を絞めるんだよ、ね。
でも、ここで多くの人が経済優先の、必要以上に消費を煽られる社会の在り方に疑問を抱き、
必要なものを必要な分だけ(もちろんそこには趣味や娯楽も十分ありつつ)を求める生き方にシフトしていったり、
「消費するだけの生き方から、生産する生き方へ」とシフトしていけば、
社会システムへの依存を脱し、環境への負荷も減っていくと思います。
どちらの未来になっていくのか、楽しみですね。
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